【ご相談前】
- ご相談者は既に第一審で「覚せい剤使用」で実刑判決を受けていました。
- 第一審では「ご相談者が本件事件前に別の覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けていたこと」が重視されたためです。
- しかし、ご相談者は、二度と違法薬物に手を出さないことを強く誓い、「実刑が妥当であれば刑に服するが、できれば執行猶予判決をもらい、もう一度チャンスが欲しい」と希望しておられました。
【ご相談後】
- ご相談者に詳しく話を伺いましたところ、ご相談者が違法薬物に手を出してしまったのは「薬効を楽しむため」のものではなく、ご相談者がかかえる特殊な事情により、「違法薬物に逃げてしまった」ものであると思い至りました。
- また、前回の覚せい剤事件からかなりの年数が経っており、「薬物と手を切る」というご相談者の言葉は十分実行できるものと考えました。
- さらに第一審判決を分析すると、「裁判官は、単に形式的に『前に覚せい剤事件をおこしているから今回は実刑にした』というのでなく、『もう手を出さないという言葉を信じたいが、とても信じられるような生活環境ではない』と考えているのではないか」と考えられました。
- そこで、私は、ご相談者の生活環境を整えることを重視し、しばらく連絡がとれていなかったお兄様に連絡をして協力を仰ぎ、その結果、ご相談者の生活環境を劇的に変えることに成功しました。
- 控訴審では、お兄様も出廷され、裁判官に真剣にこれからのことを説明して下さいました。
- 結果、ぎりぎりでしたが、逆転で執行猶予判決を得ることができました。
【弁護士コメント】
- 第一審で実刑判決を受けていた事案で、控訴審で改めて執行猶予判決をとるのは大変苦労しました。本当にぎりぎりでしたが、裁判官の理解を得ることができてほっとしました。しかし、一番の功労者はお兄様です。当初、お兄様は協力できるか悩んでおられましたが、弟であるご相談者を助けると決意してくださったあとは、ご家族を説得するなどこれまで疎遠になっていたご相談者のために大変尽力して頂きました。
※掲載している事例は、事件の特定を避けるため一部内容を変えています。